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Dr.Pennyの、デザインをリスペクトするブログ   広角山手線遊戯g

【沖縄】友人 [ときどき旅行]

【友人】

私には沖縄に移住した友人達がいる。


撮影:OLYMPUS E-1 + ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5

一人はこちらの大学を出て、こちらで就職しそのまま10数年住んでいる、3日目に自宅にお邪魔した友人「Dちゃん」。もう一人は海が好きで数年前こちらに移住してきた友人「Sちゃん」。二人とも私の高校時代の友人で、同じクラブで音楽活動をやっていた間柄だ。


撮影:OLYMPUS E-1 + ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5

「趣味は沖縄」と公言する、ガイドを買って出てくれた元ライフセーバー「Sちゃん」は、交通事故でケガをして現在リハビリ中。仕事もしばらく休んでいて、これから新たに沖縄のビジネスを考えているところだ。彼はそんな忙しい中、私がこちらに着く前も、着いてからも付きっきりで面倒をみてくれ大変助かった。

「へえ、お前写真なんか撮るんだ。」

バンド活動ばかりで他の趣味がほとんど無かった私。事前に「最近写真が楽しいんだよね♪」と伝えておいたので、「Sちゃん」は気を利かせて「私の満足の為に」そういうスポットをいくつも選んでくれていた。


撮影:OLYMPUS E-1 + ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5

それは「那覇の夕日のポイント」だったり、「リゾートホテル」だったり、「サトウキビ」の畑だったり…

「せっかく沖縄に来てもらったんだから、いい思いをして帰って欲しい。」

皆で出迎えてくれたり、見送ってくれたり、沖縄そばが楽しみだと言えば「沖縄そばの名店」ばかりに案内してくれた。ちょっと考えただけでもキリがないほど世話になった。電車が無い沖縄、リゾートホテルに旅行者が一人で行けば高く付くので、在住の彼が予約をしてくれ、また一緒に泊ってくれるほどの親切ぶりだった。


撮影:Canon EOS 20D + EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM

彼も私も高校在学中バンドをやっていて、同じクラブだったのだが、彼とはやっている音楽のジャンルも違い、バンドごとに固まることが多かったので、正直在校当時はそんなに親しい間柄でもなかった。にも関わらず彼は何から何まで面倒をみてくれた。彼は2日目の夜、テラスで飲みながらこう言っていた。

「皆が帰るのが切ないんだよね、送った後はDちゃん家に呑みに行っちゃうんだよ。」

知らない土地で働き、生活をする。この数年間、本州で育った人間が、沖縄で「生活」をするということの難しさを、彼は身をもって体験してきた。何処に行ってもすぐ友達を作ってしまう彼。しかしただ沖縄が好きなだけでは暮らすことなんかできない。たかだか2〜3日遊びで来ている私には計り知れない苦労も多かった事だろう。


撮影:Canon EOS 20D + EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM

帰りの那覇空港、彼は搭乗口で私の姿が見えなくなるまで、見送ってくれた。

ちょっとだけ彼の気持ちが解ったかもしれない。私は胸が一杯になった。飛行機に乗ってからの私は、となりの人と挨拶を交わすぐらいで、羽田に到着するまでずっと黙り込んでしまった。別に疲れていたわけではない。沖縄での出来事や友人の事をずっと考えていたからだ。これがもし一人ではなく、恋人や家族との旅行だったら、「いやあ、楽しかったねえ。」ってな感じで、きっとこんな気持ちにはなれなかっただろう。私は「一人で行って良かったな」と心から思った。


【到着】

私の乗ったスカイマークは、飛行場が混雑し搭乗口に付けられずタラップで降りることになった。用意されていたバスに乗り込んでターミナルに向う途中、目の前のカップルがケンカをしていた。別に大声でケンカをしていたのではなく、でも後ろから眺めていてすぐ分かった。何があったか知らないが、しばらくすると男が黙って彼女の席から別の前の席に移ってしまった。残された彼女は戸惑った様子で、その席を移った彼氏の後ろ姿をずっと見続けていた。

一緒に行った人とバカみたいなケンカをすること…旅行では、よくある話である。とかく違う土地では思い通りに行かないことも多く、宿泊すれば相手の嫌な部分も見えてきたりしてプチ幻滅もしたりする。そういう小さなストレスも貯まると爆発する。彼氏がスネるのにもそれなりの理由があるのだろう。しかしながら、旅行帰りのラストにケンカしたら、それまでの楽しかった時間が「台無し」だろう。

見た感じ、もしかすると私よりも年上かもしれないし、ひょっとすると既に二人は夫婦なのかもしれない。見ていて、ちょっと情けなかった。正直みっともない。いったい何があったり何を言われたりしたら、男がああいう態度を取るのか自分に置き換えて考えても理解できなかった。もし付き合っている彼女に「あたし実は男なの…」と言われても、私なら立ち上がりはしない。その後ゆっくり話し合う。

些細なことから大きなことまで、相手に対する気遣いや心遣いがあれば、どんなことでも乗り越えられるものだと私は信じたい。男女に関わらずそれが人と人との関係を築く。スネるのは、相手の愛情を過信している時に起こる。「これぐらいやっても大丈夫だろう」と相手をナメている証拠だ。私はその彼女に言いたかった、「悪い事は言わない、そんな小せえ男とは別れなさい。」と。


撮影@魔除にもらったくも貝:OLYMPUS E-1 + ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5

東京は雨だった。荷物を抱え、電車に乗り込みしばらくすると携帯にメールが入った。

「くたくたになりながら電車に乗っていることでしょう。・・・」

「Sちゃん」からだった。帰り際に「心遣いというものは、こういうものなのだ。」とまた彼に教えられた様な気がした。メールを読み返しながら、私は「今度はいつ沖縄に行こうか」と既に考えはじめていた。

<完>


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沖縄旅行記これにて終了です。
長々とお付き合い頂きましてありがとうございました。


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chiichan

やっぱり海の色がちがいますね。
たくさんの思い出と写真ができたことでしょう。
私は南は熊本までしか行ったことがないので一度沖縄の海を見て(写して)みたいです。
by chiichan (2006-12-11 09:15) 

みね

移住と簡単に言いますが、膨大な苦労と出費が伴うものです。仕事が有って行くのなら別ですが、現地で始めようとすると、かなり難しいです^^;
お友達には成功して欲しいですね^^
by みね (2006-12-11 21:59) 

暇なフォトグラファー

旅先でその土地の人じゃなければわからない場所に行けたのは羨ましいですね~
by 暇なフォトグラファー (2006-12-11 22:26) 

写真も文章も良かったです。
by (2006-12-12 01:36) 

あら!みてたのね

こんにちは・・・
カップルの喧嘩目撃談・・・意見の分かれる処ですね・・・その場に立ち会っていないので何とも言えないとこですが・・キャッキャッってうるさい・・ネホリハオリ、チクチク昔の話まで持ち出す女もいます・・反論が出来ないってこともあります・・・チョツト、その男性の方の味方になってみました・・(笑) 現実はpenny さんの言われるとおりなのでしょうが・・・余計なお世話でした(笑)
by あら!みてたのね (2006-12-12 13:02) 

CARRERA

pennyさんが羨ましいです。ここまで深い仲の友達がいて!
お友達も移住して苦労をしているのだと思います。でもこの海と空がある限り沖縄から離れることは無いのでしょうね。
by CARRERA (2006-12-13 00:17) 

penny

皆さん、niceとコメントありがとうございます。
あれからバタバタしておりまして、なかなかそちらにお邪魔できないくらいです。

# chiichan さん
沖縄の海は写し甲斐満点です。夏の雲はもっと真っ白な積乱雲だそうですよ。

# みね さん
ありがとうございます、きっと彼なら大丈夫だと思っています。

# 暇なフォトグラファー さん
本当にとてもありがたかったです。もし行かれるなら、今回私の行ったところを参考にされても良いと思います。

# こけもも: さん
ありがとうございます。最後の方はほとんど作文になっちゃいましたけど…^^;

# あら!みてたのね さん
確かに「ふざけるな!」と思うほど「嫌な女」はいると思います(笑)。きっと彼も相当頭に来ていたんだと思いますよ。
>旅行 → いろいろあって → 最後に人前でケンカ
という図式が切なかったのです。

# CARRERA さん
「沖縄が趣味」と言ってるくらいですしね。永住するのかどうかは分かりませんが、きっとこれからも沖縄で生活を続けると思いますよ。
by penny (2006-12-15 18:52) 

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