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Dr.Pennyの、デザインをリスペクトするブログ   広角山手線遊戯g

写真 [音楽と関係のない日常]


撮影@出発時:OLYMPUS E-1 + ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro

誰も守らない「50km/h規制」、どしゃ降りの関越自動車道だったが、目的の「前橋」インターを降りる頃にはすっかり雨はあがってしまった。

市内を走ると嘘のような青空が拡がり、後部座席で寝ていた母も目を覚まし「お天気になって良かったね。」とつぶやいた。きっと心掛けのいい子だったんだろうと私は思った。今日は告別式だ。別の親戚と合流して斎場に向かうことになっていたので、我々は本家の伯父の家(母の生家)に立ち寄った。

壁にかけられた「写真」は額に入れられた六つ切りの3枚。祖父母それぞれと伯母の遺影だった。仏壇に線香をあげ、手を合わせながらそれらの写真を見上げて、ふと言葉が出た。

「皆、最後は写真になっちゃうんだね。」

25年前までは皆さんここでお元気にされていた。祖父は得意の盆栽をいじり、祖母はコタツでいつもニコニコ笑い、伯母はお店の酒店を切り盛りしていた。ここの家の従兄弟たちは、それぞれ結婚してもうこの家には住んでいない。経過した「時間」というものを肌で感じる瞬間だった。


撮影@到着時:OLYMPUS E-1 + ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5

セレモニーホールに到着し、喪主の叔父夫妻に挨拶をしたが、思った通り憔悴されているようだった。なのに「遠いところをわざわざ…」とこちらに気を遣って頂いたのが、かえって心苦しい。ショックでも受け入れて、悲しいのに感情を飲み込んで・・・疲れていても気丈に振舞う姿、通夜葬儀の喪主は何と過酷なのだろうと感じた。

お坊さんのお経が始まるまで、棺の置かれた祭壇を見ていた。スピーカーからはずっとX-JAPANの曲が流れていた、きっと彼の好きな音楽だったのだろう。私は子供の頃の彼しか知らなかった、最後に逢ったのは彼が中学生の頃だろうか、だから祭壇の上に飾られた遺影をみて、立派な青年になっていたことに驚き、またそれと同時に余計やるせない気分になってしまった。享年26歳はやっぱり若過ぎる。


撮影@上里PAにて:OLYMPUS E-1 + ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5

誰もがそうだと思うが「若い人の葬式」くらい堪らないものはない。しかし(こんなことに良いも悪いもないけれど)実にいい葬儀だった。我々親族だけではなく、友人知人、彼の仕事仲間たちに大勢参列していただき、また仕事関係らしきところからの花輪がずらりと並んでいて非常に賑やかだった。当初、何せ若い故人なので、花輪は親戚筋くらいしか飾られないかと心配していたそうだが、その辺りはおかげさまで杞憂に終わった。弔辞、弔電では「いつも笑顔だった…」という言葉が端々にあり、生前の彼の人柄が偲ばれた。不謹慎な言い方かもしれないが、セレモニーホールから火葬場に行く道すがら、こうして多くの人に惜しまれ、そして見送られた彼を少し羨ましく感じていた。

生まれた時よりも、死ぬ時の方が、人は周囲に大きな影響を与える。

地鳴りの様なゴーという何ともいえない音、何度聞いても火葬場のバーナーの音は恐ろしいと感じてしまう。我々は最後のお別れを済ませ、彼の棺は番号と名前が入った釜の中に入れられた。その後通された待合室から外を眺めると、我々の後にも火葬場には車が絶え間なく入ってくる。それぞれの遺影と、それぞれの家族、親族、参拝者。それぞれの涙と、それぞれの故人に対する気持ちや想い出。

その人間が何歳で生涯を終えるかなんて、誰も分からないし、考えたって仕方のない事だ。生まれたばかりで死んでしまう人も居るし、周りの誰からも「大往生だったね」と言われる人も居るだろう。死に向う際も、永く病気に苦しんだ人も居れば、昨日までピンピンしていた人だって居る。「必然」と「積み重ね」が人生であるならば、いつ何がその身に振り掛かるか分からないのもまた人生。だからこそ「後悔のない毎日を…」と頭では理解しているつもりでも、それが実行できていると言えば嘘になる。その人の齢がいくつであろうと、今まで何を成し遂げていようと、本当に何も思い残すことのない死など、ほとんどあり得ないことだろう。


撮影:OLYMPUS E-1 + ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5

所謂「生きることの意味」とか、「意味のある人生」とか、そんなものは私には分からない。ただ「それまで生きたのだ」という事実そのものが、その人にも、またその周りの人にも大切なのではないかと最近思う。今回の突然の死、彼の姿はなくなり、過去の姿は遺影という「写真」になり、そして皆の心の中に強く刻まれた。もし人生に使命、天命があるのだとしたら、私は彼がそれを全うしたのだと信じたい。

****
皆さん、ご心配をお掛けしました。
暖かいコメント、本当にどうもありがとうございました。

叔父夫妻と彼の弟と妹、終始家族が寄りそう姿が印象的でした。悲しい出来事でしたが、きっと乗り越えてくれると思います。書かせてもらったのは、彼の死に関して私が感じたことだけ、事件の事に関しては、やはり発言を避けました。今後も何も書くつもりはありません。

先ほども書きましたが、母の生家は酒屋なのです。子供のころ薄暗い酒蔵で遊んでて酒瓶倒しちゃったり怒られもしましたが、毎回来るたびにお菓子やらジュースやら、何か土産にもらって帰るのは子供ながら悪い気がしませんでした。楽しかったな、あの頃 ^^

伯父さん、イモ焼酎をありがとう。
って、大人になっても土産もらってるし♪


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RangerMaeda

享年26歳でしたか
まだまだ、人生を楽しめただろうに・・・・・
若い方の葬儀は特に、いつも心苦しいです
残された家族の方々の、これからの悲しみは、計り知れないですね
by RangerMaeda (2007-09-14 09:05) 

chiichan

今年の2月に義父が他界しました。
私もあの火葬場のうなるようなバーナーの音を聞いただけで涙が出てきましたね。

もうあれから6ヶ月ちょっとが過ぎました。
by chiichan (2007-09-14 09:10) 

過去の笑顔が26歳の遺影となる・・・心が痛みます。
by (2007-09-14 10:05) 

ガンバルおやじ

まだまだ若いのに残念ですね。
子供を失うつらさは、残された親御さんにとってはたまらないことだと思います。
ただただご冥福をお祈りいたします。
by ガンバルおやじ (2007-09-14 12:46) 

COCO

お従兄弟さんのご不幸に言葉もありません。
辛いことですね。
まだお若い大切な息子さんを突然亡くされた叔父さまご夫妻と
penny さんに心からお悔やみ申し上げます。
お従兄弟さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
どうぞお疲れがでませんように。
by COCO (2007-09-14 14:05) 

僕ももう、両親がいませんが
「生きがい」とか、考えると難しくなりますね。

お疲れ様でした。
by (2007-09-14 15:43) 

uchin

ただただ ご冥福をお祈り致します。
時々、若い方の葬式に参列しますがやはり辛いですね。
by uchin (2007-09-14 15:45) 

ふかぴょん

先日ふと思いたち実家から、自分が生まれた時の写真のネガを取り寄せて、スキャンしてみました。若かりし頃の母親や、亡き祖母の姿が浮かび上がり、胸にジーンときました。そして、自分も残りの人生、有意義に生きなければ、という気持ちになりました。
そして焼酎はやはり、イモですね ^^
by ふかぴょん (2007-09-14 15:57) 

暇なフォトグラファー

若いですね。26で逝ってしまうのは。
by 暇なフォトグラファー (2007-09-14 16:20) 

NeoN

お帰りなさい。
良いお葬式だったようで、何よりでしたね。温かい雰囲気を感じました。
by NeoN (2007-09-14 17:00) 

あら!みてたのね

こんばんは・・・
若い方の訃報は堪らない悲しみがあります。
故人の方との幼き頃の思い出が甦って、悲しみも一入だとお察し申し上げます。
お土産の芋焼酎・・・お一人でグラスを傾け、故人の方との思い出にひたる時間をお持ちになり、供養となさってあげて下さい。
by あら!みてたのね (2007-09-14 21:08) 

an-kazu

献杯・・・
by an-kazu (2007-09-14 21:42) 

ジョルノ

私の従兄弟も3月に急死したんです。29歳でした。
従兄弟の中で唯一の女の子だったんですが・・・
この前ようやく納骨だったんで行ってきましたが、残された遺族を見ているのは忍びないものがあります。
by ジョルノ (2007-09-15 01:22) 

私も祖母をひき逃げで亡くしました。
犯人はすぐに捕まりましたが、前科のある人物でした。
このような事件が後を絶たないことを、本当に悲しく思います。
by (2007-09-15 03:07) 

響(きょう)

生きているときも、死ぬときも、大きなものに包まれていると感じたいなと思う私です。

まわりの人々の愛情が、その現れであればな、と。
by 響(きょう) (2007-09-15 14:48) 

みね

ご冥福をお祈りするばかりです。
若い方が亡くなると、残ったご家族を見ているのがつらくなります。
by みね (2007-09-15 17:15) 

ハイマン

若くしてこの世を去る
お悔やみ申し上げます。
by ハイマン (2007-09-15 18:45) 

テリー

大変でしたね。おくやみ申し上げます。
by テリー (2007-09-15 19:02) 

JJ-LIFEADD9

お疲れ様でした。
by JJ-LIFEADD9 (2007-09-15 20:49) 

26歳ですか・・・。ほんと心苦しいですね。
pennyさんの「本当に何も思い残すことのない死など、ほとんどあり得ないことだろう。」の言葉がすごく印象的でした。
by (2007-09-16 00:56) 

jyoji-san

3年前に教え子を亡くしました。まだ15歳、一週間前までは、元気にひざ突き合わせて勉強していたのに・・・・突然の電話はたとえようもなくショックでした。いつも廻りに気を使うやさしいその女の子は亡くなる寸前にもなげき悲しむ母親に、「お母さん、大丈夫?泣かないで・・・・」と言ったそうです。
今彼女はやさしい天使になりお母さんや、友達、きょうだいを天国で見守っているに違いありません。しかしご家族はあまりにも早過ぎる死に打ちのめされています。彼女を死に追いやったのは急性白血病でした。
by jyoji-san (2007-09-16 01:24) 

お若いですね
まだまだこれからって歳なのに・・・
by (2007-09-17 19:55) 

penny

皆さん、niceとコメントありがとうございました。
暖かいお言葉、本当に心に染みます。
by penny (2007-09-25 16:59) 

まるよ

僕も今26歳です。とても想像できません。。。
「生前の人柄が偲ばれる」良いお葬式ということがせめてもの救いですね。
お悔やみ申し上げます。
by まるよ (2007-09-29 08:24) 

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