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Dr.Pennyの、デザインをリスペクトするブログ   広角山手線遊戯g

【沖縄】悲しい岬 [ときどき旅行]

【祭りのあと】

子供たちの笑い声が聞こえて目が覚めた。
平和な一日が始まった予感がする。


撮影:Canon EOS 20D + EF-S17-55mm F2.8 IS USM

正直言って今日、東京に戻る日だということを考えたくなかった。

友人が調理をしているのを見るのは、高校時代の河原でやったバーベキュー以来だった。ご飯にスープにサラダに刺身のヅケ、鳥肉のソテー、実に豪華な朝食だった。朝しっかり食べられるのはとても嬉しい。

家族が揃って(というか私がお邪魔しているだけだが…)食事をするのは久しぶりだった。私の両親はもう既に仕事をリタイアし、この歳になると私も自宅事務所で仕事をしているとはいえ、家族同士で食事の時間が合う試しはほとんどない。自分の家族を持つとこうなるんだな…。私にとっては懐かしく、そして新鮮なひとときだった。

飛行機が夕方なので、それまで土産を買ったり、時間の許す限り色々回って那覇空港へ送ってもらうことになった。Dちゃんの子供も一緒に行く事になったので賑やかで楽しそうだ。

気が付くとEOSのバッテリーが残り少なくなっていた。昨日気が付けば充電したのだが、まだフィルムが余っていたので、今日はフィルムカメラだけにして他の機材は全てバッグにしまい込んだ。

さて、沖縄を語る上で避けては通れない大きな過去の事実がある。戦争の事だ。

「今日は、沖縄の『光と影』だ。せっかく来たんだからこういうのも見とかないとな。」

我々は沖縄本島の最南端に向った。


撮影:Canon EOS 20D + EF-S17-55mm F2.8 IS USM

【私の知り合いの話】

子供の頃に世話になった、Iさんという女性がいる。私の父がいた会社で働いていて、父のいた会社は自宅の目の前にあったので、まだ小さかった私や兄妹の面倒を何かと観てくれていた方だ。

Iさんは戦時中は女学生で、ある時期沖縄にいた経験がある。疎開ではない、彼女のお父様が役人さんだったこともあり、沖縄に食用兼ガソリンの代替燃料を作るため、実家の埼玉からイモの栽培に借り出されていたのだ。「イモから燃料を…」にわかには信じ難い感じだが、実際にそういうプロジェクトがあったのだ。石油を止められた戦時中の日本が相当切迫していたことがうかがえる。今でも沖縄でイモが採れるのはその名残らしい。

その後、Iさんは実家に戻ることになり、彼女は運良く沖縄の戦禍に巻き込まれることは無かった。しかし、沖縄にいた彼女の友人達は、そのほとんどの方が戦争の被害にあって亡くなられた。

沖縄とはそういう場所である。

戦争の悲惨さを比較することなんてできない。どんなシチュエーションであれ、悲劇であることには何の変わりもない。しかし少なくとも本州では、いや私の住む東京では、空襲の被害はあっても地上戦は行われなかった。我々には想像もできないような悲しい出来事が、数えきれないほど「実際に」ここで起こったのだ。

【悲しい岬】


撮影:Canon EOS Kiss 5 + SIGMA 20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF + Velvia 100F

喜屋武岬という沖縄本島ほぼ最南端の岬がある。喜屋武と書いて「きゃん」と読む。知らなければまず読めない。

ここは戦時中、沖縄戦で逃げ場を失い、南下する米兵に追いつめられた人たちが、ここから身を投げ自らの命を絶った悲劇的な事実があった岬である。「潔く散る」「捕虜になることは恥」としていた当時の軍事思想がこの悲劇を生んだ背景だそうだ。写真のように「平和の塔」というモニュメントがあり、軍人と民間人併せて「1万人」もの霊を弔っている。


撮影:Canon EOS Kiss5 + SIGMA 20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF + Velvia 100F

崖下に目をやった。何ともいえない気分になった。

「ここから飛び降りたんだぜ、さぞ痛かったろうな。」

とても美しい岬だった。高所恐怖症なのだが、何故かそこでは恐くなかった。沖縄の他の場所とは何となく雰囲気が違った。どうしても「キレイだなあ…」とは素直には思えなかった。壮大だが重苦しい雲が掛かっていて、海の色は深く悲しい色だった。少なくともそう感じていた。

我々はその後、近くの「具志川城跡」という15世紀の遺跡を見て回った。沖縄を発つ最後の日に「沖縄の光と影」を体験できて良かった。この見学は印象に強く残った。良いところばかりを見ていては、理解出来ない部分もある。ちなみにこれら喜屋武岬周辺は霊感の強い人はあまり行かない方が良いそうである。とりあえず私は平気でした…と思います。

【具志川城跡】


撮影:Canon EOS Kiss5 + SIGMA 20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF + Velvia 100F

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業務連絡:
フィルムスキャンをフラットベッドに変更、全然楽でした。
他のもそのうち撮り直そう。


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暇なフォトグラファー

沖縄では、まだ戦争は終わっていないのかも知れませんね~
by 暇なフォトグラファー (2006-12-09 16:17) 

あら!みてたのね

こんばんは・・・
悲しい歴史の岬・・・わたしも行きましたが、手を合わせずにはいられません。多くの方々の犠牲の上に今日の平和があると言うことを忘れずに生きていくことが大切だと思います。
by あら!みてたのね (2006-12-09 21:40) 

penny

niceとコメントありがとうございます。

# 暇なフォトグラファー さん
ちっとも終わってないと感じました。

# あら!みてたのね さん
本当にそうですね。
音楽聴けたり、写真撮れることに感謝です。
by penny (2006-12-10 14:31) 

みね

いまは平和な世の中ですね。
沖縄では、戦争を忘れることは出来ないでしょうね。実戦が行なわれてしまった地ですから・・・。
写真を撮って楽しんでいられる「いま」に感謝。
by みね (2006-12-10 22:35) 

penny

# みね さん
ホント、「いま」に感謝です。

>沖縄では、戦争を忘れることは出来ない・・・
沖縄の人は「日本」に対して結構厳しい意識があるみたいです。「もし日本じゃなかったら我々は攻撃されなかった。」と思っている人多いそうです。沖縄独立とか言っている人たちはシャレじゃないんですよね。
by penny (2006-12-11 15:36) 

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